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シュシュシュという音が、この薄暗い空間に響く。何か、硬い者どうしを擦り合わせる音だ。
何処か孤独を思わせる音。例えるならば、巨大かつ堅牢な石たちに囲まれた中世の牢獄。その中では、白髪白髭の老人が、何のおまじないか、石と石を擦り合わせている。惨めなことに、この行為だけが、彼の世界に対する働きかけだとでも言うのだろうか。
何処か、ここでない世界を、うつろな目で見やりながら、からくり人形のように、両手を互いに動かしている。石が擦り合うのも恣意的なことでなしに、偶然のようにすら思える。それほどに、その音は、生身の人間が持つ意識というものを感じさせないのだ。
何度この単調な行為を繰り返してきたのであろう。何時、どんな理由で、ここに連れてこられ、閉じこめられたのか、老人は、今となっては憶えていない。ただ、単調で陰鬱な時間が過ぎていくだけだ。
今日、書いた小説から。
もっと言い表現はないかと思ったが、これが限界だった。
いまの精神状態を表しているのだろうか?
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